知って得するみかんの栄養と効能(ビタミンC・βークリプトキサンチン編)


知って得するみかんの栄養と効能

 

目次  

1 みかんの栄養

2 みかんに含まれるビタミンCの効能

2-①:免疫力を高め風邪予防

2-②:動脈硬化や脳梗塞などの予防

2-③:美肌効果

2-④:鉄の吸収促進

3 みかんに含まれるβークリプトキサンチン

3-①:βークリプトキサンチンとは?

3-②:βークリプトキサンチンの効能

3-③:みかんに含まれるβークリプトキサンチンの含有量

3ー④:βークリプトキサンチンを効率的にとるには?

 

 

 

 

1・みかんの栄養

秋から冬にかけて収穫されるみかん。みかんを1日3個食べると病気知らず、なんて言われていますが、みかんには風邪予防や美肌効果、動脈硬化の予防など様々な効果が期待できるすごい食材です。また、最近ではβークリプトキサンチンという言葉もテレビで見かけるようになりました。実際どのような効能があるのでしょう。一つずつ見ていきましょう。

2・みかんに含まれるビタミンCの効能

 

2-①免疫力を高め風邪予防

ご存知の方もいるかもしれませんがみかんには多くのビタミンCが入っています。みかん100g中35mgも含まれており、大体3個ほどで成人1人1日の必要量100mgをまかなうことができます。ビタミンCには免疫力を高め細菌やウイルスなどの抵抗力をつける働きがあり、風邪などの病気予防の効果が期待できます。風邪が流行する季節には毎日でも食べたい食べ物ですね。

 

 

 

2-②動脈硬化や脳梗塞などの予防

みかんに含まれるビタミンCには、心筋梗塞や狭心症・脳梗塞などの動脈硬化を誘発させる悪玉コレステロール※1を抑制する働きがあります。これはビタミンCの抗酸化作用が活性酸素の影響で酸化して、過酸化脂質となるLDLコレステロールを酸化から守る役割があるためです。

 

※1・・悪玉コレステロールとは、LDLコレステロールのこと言います。LDLコレステロールとは、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ働きがあり、LDLコレステロールがうまく血管を流れて行かずに血液中に増えてしまうと、血管壁にたまってしまいます。その増えたLDLコレステロールが活性酸素の影響で酸化して、過酸化脂質となり、その過酸化脂質が蓄積していくと血管が細くなり血栓ができて動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や狭心症・脳梗塞などの動脈硬化性疾患を誘発させます。

 

 

2-③美肌効果

みかんに含まれているビタミンCには、シミ・そばかすのもととなるメラニン色素の原因‟チロシン”を生成する酵素である‟チロシナーゼ“を抑える働きがあり、メラニン色素の沈着を防ぐことが期待されます。また、ビタミンCは肌にハリや弾力をもたせる働きがあるコラーゲンの生成に必要な栄養素になります。コラーゲンは肌の張りや弾力をもたせる働きがあるほかに、関節や骨、爪、血管など体の各部を構成する重要な栄養素です。ビタミンCを一緒にとって肌や骨、関節、血管などの健康維持に役立だせましょう。

 

 

2-④鉄の吸収促進

貧血の多くは鉄欠乏性貧血と言われています。特に女性は月経や過度なダイエットなどで貧血になりやすいと言われています。食品中に含まれる鉄には“ヘム鉄”と“非ヘム鉄”があり、ヘム鉄はレバーなどの肉や魚の動物性食品に多く含まれていて、非ヘム鉄はほうれん草や海藻類などの植物性食品に多く含まれています。この二つの違いは体内の吸収率にあります。ヘム鉄の吸収率が約10~20%に対し、非ヘム鉄の吸収率は約2~5%です。ほうれん草などに含まれているヘム鉄はそのほとんどが体内に吸収されず外に出てしまいます。その鉄の吸収をアップさせる働きがあるのがビタミンCです。特に非ヘム鉄を吸収しやすい形に変える働きがあるので、鉄とビタミンCを一緒に摂取して少しでも体内に多く吸収できるようにしていきたいですね。貧血の人にはお勧めの栄養素です。

 

 

3 みかんに含まれるβークリプトキサンチン

 

3-①:βークリプトキサンチンとは?

最近情報番組や雑誌なのでよく見かけるβ-クリプトキサンチン。なんとなく聞いたことがあるような、そんな方も多いかもしれません。そもそもβ-クリプトキサンチンとは、なんでしょう?

β-クリプトキサンチンとは、天然に存在するカロテノイド色素の一つで黄色や橙色を示すキサントフィルの仲間です。カロテノイドとは色素成分のことを指し、抗酸化作用があり、紫外線から皮膚や目など守る働きがあります。特にβ―クリプトキサンチンは、温州みかんに多く含まれていて、オレンジの約100倍も多く含まれています。また、プロビタミンAでもあることから体内に入ると必要に応じてビタミンAに変わります。

 

~ここで1つ豆知識~

・人を含む動物は、カロテノイドを体内で生成することはできません。果物や野菜などから摂取することが必要になってきます。また、カロテノイドは油に溶けやすいため、油と一緒にとると体内への吸収率が高まります。

 

3-②:βークリプトキサンチンの効能

 

β―クリプトキサンチンがカロテノイドの一種ということをお話ししましたが、その効能どういったものがあげられるのでしょう。

 

・骨粗鬆症の予防

β―クリプトキサンチンを含むみかんを食べることにより骨の健康維持の効果に期待ができようです。特に閉経後の女性ではβークリプトキサンチンの血中濃度が高いほど骨粗鬆症の発生リスクが低下するみたいです。

 

・2型糖尿病の予防効果

糖尿病とは、血液中にあるブドウ糖濃度が異常に高い状態をいい、特に2型糖尿病はインスリン自体の働きが低下して血糖値が上がってしまいます。その原因として、食べすぎ・運動不足・喫煙・アルコールのとり過ぎ・ストレスなどがあげられます。つまり、生活習慣が要因となる生活習慣病なのです。また、血糖値が高い状態を放置すると網膜症や腎症、神経障害などの合併症を引き起こしたり、動脈硬化のリスクが高まったりします。透析の約半分が糖尿病からの合併症でなっています。農研機構果樹研究所や浜松医科大学などの調査によると、温州みかんを毎日3、4個食べている人は、食べていない人と比較して、57%も糖尿病の発症率が低いことがわかったそうです。これは、β―クリプトキサンチンに抗酸化作用があり、その抗酸化作用が耐糖能を改善すると考えられているためです。また、糖尿病の血糖値を正常に保つ働きを改善することにより、脂肪細胞の肥大化を防止します。

 

・免疫力を高める

 βークリプトキサンチンは免疫力を高める効果も期待されています。マウス実験により免疫タンパク質が促進されたことが判明しており、特に細胞性免疫に関与しているインターフェロンという物質の生産が顕著であったことが確認されています。

 

・美肌効果

 βークリプトキサンチンは保水成分「ヒアルロン酸」の量を増やす働きがあるようです。さらに肌の保水機能を維持する器官「アクアポリン」の生成を助けることも分かっています。

・発がん性抑制

β―クリプトキサンチンには抗酸化作用があり、がんの発生の予防になります。農水省果樹試験場、京都府立医科大学などの共同研究グループは柑橘類のβ-クリプトキサンチンには、β-カロテン(人参などに含まれる)の約5倍の発がん抑制効果があることが確かめられたそうです。

 

抗酸化作用とは?・・・

抗酸化作用とは、酸化を抑える働きのことをいいます。人は、呼吸によって取り入れられた酸素を利用して、生命維持に必要なエネルギーを作りますが、その過程で酸素の一部が酸化力の強い活性酵素になります。活性酵素は、増えすぎると体を構成する脂質やたんぱく質、核酸などを傷つけます。よく言われるのがしわやシミの原因。また、活性酵素によって酸化された脂質である過酸化脂質が血管壁を傷つけ、酸化LDLは動脈硬化を引き起こしたり、DNAの突然変異が起こり、がんが発生する原因にもなったりします。そのため、この活性酵素を抑える抗酸化作用が大切になっていきます。

 

3-③:みかんに含まれるβークリプトキサンチンの含有量

 

では実際どのくらいの量のβ―クリプトキサンチンが温州みかんに含まれているのでしょう。

可食部100gあたり

温州みかん(普通)1800mcg

温州みかん(早生)2000mcg

ネーブルオレンジ  210mcg

柿(甘柿)     500mcg

さくらんぼ     21mcg

りんご        7mcg

いちご        1mcg              果物ナビより

 

温州みかんに含まれるβークリプトキサンチンの含有量は、他の果物と比べてもかなり多いことがわかります。また、熟すほどβークリプトキサンチンの含有量は多くなります。

 

 

 

4、β―クリプトキサンチンを効率的にとるには?

・旬の時期に食べるようにする

 何といっても食べ物は旬の時期が最も美味しく、栄養価も高くなります。また、たくさん収穫されることからコスト面でも安く手に入れることができます。

・喫煙、飲酒をなるべく控える

せっかくみかんをたくさん食べてβ―クリプトキサンチンを体の中に取り入れても、喫煙や飲酒をすることによって、β-クリプトキサンチンの血中濃度が著しく低下してしまうことが報告されています。これは、喫煙や飲酒により体内で多くの活性酸素が発生して、その活性酵素を抑えるため抗酸化物質としてのβ-クリプトキサンチンが浪費されるという理由からだと思います。