みかん農家が伝えたい、佐賀みかんとみかんの話


 

1:佐賀みかんの特徴

 

柑橘の原種は?

 

    

 

3000万年前のインド島北部のアッサム地方近辺を発祥としてるようです。その後さまざまな種に分化しながらアジア地域に広まり中国等へ広まったとされています。

 

日本にはタチバナと沖縄にシークワーサーが原生していたようですが、3世紀の日本の様子が描かれた「魏志倭人伝」によると、食用とはされていなかったようです。

 

日本の文献で最初に柑橘が登場するのは「古事記」と「日本書紀」です。ここに記されている”橘“は、タチバナかダイダイか小みかん(キシュウミカン)のいずれかで、はっきりしていません。

その後も中国からキンカンやコウジ(ウスカワミカン)といった様々な柑橘が伝わりましたが当時の柑橘は食用としてではなく、薬用として用いられていたようです。

 

キシュウミカン(小みかん)

 

みかんの上に飾っている葉つきみかんのことをキシュウミカンといいます!

 

最初に日本に広まったのがキシュウミカン(小みかん)です。

交易港として栄えていた肥後八代(現熊本県八代)に中国から小ミカンが伝わり朝廷にも献上されていましたが、それが15~6世紀に紀州有田(現和歌山県有田郡)に移植され一大産業に発展したことから「紀州」の名がつけられました。

 

温州ミカン

 

 

 温州みかんの発生と歴史についてみてみましょう。

 

ウンシュウミカンは明治時代に入ってから栽培が本格化し、わが国の柑橘出荷量の約7割(平成25年)を占める最重要品種です。日本原産と推定されていますが、その由来については諸説があり、不明でした。

 

まず1976年に発刊された岩政正男教授の”柑橘の品種”に、下記のように記されています。

 

温州みかんの発生は田中長三郎博士の研究によって天草の南に横たわる長島と推定されています。その後、長島町鷹巣で樹齢300年の最高木が発見されこの物的証拠によって長島発生説は動かしがたいものとなりました。この最古木を原木と称する人もいますが、田中博士の調査では明らかに接木樹で原木は別に存在していたことになります。したがって、その発生は、400年ないし500年前のことと思われます。中国から船出して潮の流れに乗ると長島付近に漂着する。そのためここには交易を司る役所が置かれていたそうです。温州みかんはこういった交易船によって中国からもたらされた早橘あるいは槾橘といったミカン類の一種の偶発実生と目されるようです。

 

 

 

その後、2016年に「農研機構」のDNA鑑定により、ウンシュウミカンの親が”キシュウミカン”と”クネンボ”と推定されました。農研機構では、カンキツのDNAマーカー206種類を用いて、67の柑橘品種・系統についてウンシュウミカンとの親子鑑定を実施しました。その結果、ウンシュウミカンの種子親がキシュウミカン、花粉親がクネンボと推定されました。日本の明治中期以前の主要カンキツであったキシュウミカンとキシュウミカンとともに江戸時代までの主要カンキツであったクネンボが、ウンシュウミカンの両親であると推定されたのです!このように、ウンシュウミカンの優れた形質について遺伝子レベルでの解明が進み、カンキツの品種改良の効率化に貢献できると期待されているようです。

 

 

さて、九州の佐賀県にも、長島と地理的に近かったため自然に伝わってきたのではないかとされています。

温州みかんは類稀な優品で江戸時代初期から存在していましたが、その優れた特質である種なしが封建の世に受け入れられず、本格的な栽培が始まったのは明治維新以後でした。

 

 

温州みかんの全国生産量

 

 

 

1位は、和歌山県。2位は、愛媛県。3位が静岡県。

4位に熊本県が入り、5位長崎県。そして6位に佐賀県となっています。

 

佐賀県も、隠れたみかんの生産地ですよね^^。

 

 

佐賀県の主なみかん生産地区

 

 

一つ目: 日本海に面した、唐津・伊万里地区。

二つ目: 天山山麓にある多久・小城・大和・神崎地区。

三つ目: 有明海に面した多良岳山麓の太良・鹿島・白石地区。

 

 1.唐津・伊万里地区:  ハウスみかんの栽培が盛んで、その出荷量は全国一となっています!温州みかんだけでなく、“しらぬひ”や“はまさき”など、晩柑類のハウス栽培も盛んです。

2.多久・小城・大和・神崎地区:天山山麓のふもとに広がる地区です。内陸部にあるためその特徴を生かし高品質のおそもの系みかんがとれる産地として有名です!

 

3.太良・鹿島・白石地区:  有明海沿岸の温暖な気候から高品質の早生みかんがとれる産地として有名です。果樹園みかんの木もこの地区にありますよ。

 

佐賀県で栽培されるカンキツの品種

 

 

 

 

温州みかん・・佐賀県における柑橘の品種は、まず温州みかんが上野早生、興津早生、宮川早生、由良早生、太幸早生、石地温州、大津4号、青島、寿太郎などがあります。

ほんとに色々な種類がありますね。早いものは9月下旬ごろから収穫も始まり、10月11月12月と品種のリレーをしながら、その時期その時期の旬のみかんが収穫されていきます。

 

その他の柑橘・・佐賀県におけるその他の柑橘類の品種は、デコポン(しらぬひ)、麗紅、いよかん、はるか、清見、ポンカン、せとか、キンカン、ネーブルオレンジ、甘夏みかん、天草などがあります。現在いろいろな新品種の柑橘も登場してきてますのでカンキツ好きの方はお見逃しなく!

 

ハウスみかん、ハウスデコポン、・・佐賀県唐津・伊万里地区は日本一のハウスみかんの生産地です。”ハウスみかん“は加温されたハウスの中で育てられた温州みかんのことです。

露地栽培の温州ミカンは、秋口から3月にかけてお店に並びますが、佐賀県産のハウスみかんは4月ごろから10月にかけて皆様のもとに届きます。

 

佐賀県唐津・伊万里地区ではみかんだけでなく”ハウスデコポン”の栽培もさかんです。佐賀県産”ハウスデコポン”は、11月下旬ごろより出荷が始まり露地デコポンがでる2月中下旬まで出荷が続きます。

 

また、近年話題となっている”はまさき”も、JA唐津のオリジナルブランドとして脚光をあびているようです。同じくハウス栽培の品種です。